生態系のピラミットから言えば、ウサギは下層の生き物である。
特に鋭い牙も大きな爪も無い、フカフカの毛皮と、柔らかそうな肉を肉食獣に提供するだけの存在に見える。
しかし、肉食獣に補職されてなお絶滅しない繁殖能力を身に付け、さらに敵を早く感知出来る耳と「脱兎のごとく」と言われる様な足を進化させた。
ついでと言っては何だが、この進化によってウサギは可愛さを身に付ける事となる。
カワイイなぁ!もう!うさ耳ってば!それに何!そのまるいお尻は!
って思って思って抱こうとすると、結構ツメが鋭かったりして、引っ掻かれるとミミズ腫れ程度にはなっちゃうんです。
なので、カワイイなぁ〜ウサギ・・・って思いながらちょっと離れた位置で見てます。
キャラクターとしてのウサギのイラストは、ただただカワイイウサギちゃんなんですけどね〜。
僕は、壁に掛かったウサギのイラストを見ていた。
外の天気はどんよりと曇っているのに、そのイラストといったら脳天気に晴れ上がり虹までかかっていて、見ているだけで何となくハッピーな気分になる。無駄にキラキラしているので、落ち込んだ気分を無理矢理にでも上げる効果があるのかもしれない。
でもその中のウサギは何となく無表情で生き物と言うより縫いぐるみの様に見え、そこがシュールで今の自分と重ね合わせるのにしっくりくるのだった。
「チョット!ジロジロ見ないでくれる?」そう言われて、少し手前に焦点を合わせると、少女がコチラを睨んでいた。
大きな黒い目が無遠慮に真っすぐ睨んで来る。
思わず目線を反らせようかとも思ったが、少し大きめに開いた襟元から見える白く光る胸の膨らみがソレをさせなかった。
「見るな!気持ち悪い」再び僕の視線の修正を求める声が飛んで来た。
「マドモアゼル、僕が見ていたのは、貴女の背後の壁に掛かったウサギの絵ですよ。」少女の胸から少しも目線を反らさずに笑顔でそう答えた僕に「アラ、ごめんなさい、私の勘違いでしたヮ。お詫びにオッパイを揉んでください。」と、ペロンと服を脱ぐ少女を想像していたのだが、残っていたのは「死ね!気持ち悪い!」という捨てゼリフと、甘く切ないシャンプーの香りだけだった。