招き猫が好きでして・・・
招き猫作家さんの作品とか集めるですよ。それはそれは個性的な・・・
その話は、別の所でやりましょうね。ハイ。
昔住んでいた家の近所のボス猫さんの目つきが尋常じゃなくて、ちょっと描いていました。
金色の虹彩の真ん中をスッとカミソリで裂いた様な、黒く細い瞳が他のネコ科の大型猛獣を思い起こさせる。
なんだか雪豹だか虎の様な頬のたてがみまであって、威風堂々ってかんじの太々しい感じがまさに親分!って感じでした。
なんかそんな親分が招き猫してくれると、運を強引に運んで来てくれそうでしょ?
って事で招き猫親分のイラストでした。
そうそう、ある日こんな事がありました。
ボロいマンションのオンボロエレベーターに乗り込むと、ヨチヨチ歩きの幼児が後から乗り込んできました。
俺はまだ暫く閉まりそうにもないエレベーターの扉を親切心で開くのボタンを押して待ってあげることにしました。
俺がボタンに手をかけると同時に予想に反して閉まるドア。幼児が挟まれそうになったのに驚いて僕はボタンを連打しました。
しかし、それは閉まるのボタンだったのです。
幼児はドアに挟まれその拍子に転んで火がついたように泣き出しました。
その直後に太い金のチェーンを首に巻いたちょっと怖そうな若いお父さんと、根本が黒い金髪のお母さんが僕を睨みながらエレベーターに乗り込んできました。
その時すぐに謝れば良かったのですが、その刺すような視線に押されてごめんなさいの言葉が出てきません。
無言のまま扉が閉まり、殺意の充満する密室で聞こえるのは幼児の鳴き声と鈍亀の様にノロノロと動くオンボロエレベーターの動く音、目指す8階に着くのに3日は掛かりそうです。
そんな耐え難い苦渋の空間に僕ではない誰かが極上に臭いオナラを音もなく忍ばせました。
確かではないのですが多分お父さんが放屁したものだと思われます。
鳴き声と殺意とオナラが充満する正に死のエレベーターと化したその空間で次の瞬間お父さんが極小さい声で「くせえなぁ」と呟き僕を睨む目に悪魔の光が宿りました。
はっきりとは言及しなかったんだけど明らかにオナラを僕のせいにしています。
僕は最低な人間ですが、今回に限って言えば故意に幼児を泣かせたのでもないし、狭い密室でオナラをしたのも僕ではありません。全部濡れ衣です。
僕ならサービス精神で、もっと楽しげな音のオナラをしますし、子供を泣かすときは親が居ないのを確認してから夢に出るほど怖い顔で追いつかない程度に追いかけ回すぐらいです。